ロシアの電力消費量が過去最高となり、輸出は減少

セクター エネルギー
関係国 ロシア国内/中国/EU/トルコ/その他/カザフスタン
掲載日 2024-02-08
コンテンツ 2月8日付Infotek、UPSによると、近年、ロシアの電力消費量は記録を更新し続けており、2015年以降、コロナ禍の2020年を除きほぼ増加の一途を辿っている。統一エネルギーシステム・システムオペレーター(SO EES)のデータによると、2015年には1兆80億kWhであったが、2023年には1兆1,220億kWhに達した。2023年は前年に比べて1.4%、2022年は(GDPが1.2%減少したにもかかわらず)1.5%増加した。専門家は、2023年の記録更新の理由につき、厳冬および鉱工業生産の急増に伴う企業の電力需要増加のためと説明している。SO EESによると、同年の機械製造業の電力消費量は前年に比べて9.5%、化学・石油精製業では5.2%、データ処理センター事業では60%も増加した。統一エネルギーシステムにおける2023年の発電量は前年比1.1%増の1兆1,340億kWhであった。2022年の発電量は前年比0.6%増であった。過去2年間の発電量の伸びは消費量の増加に比べて小さいが、専門家の見解によると、その一因は電力輸出の減少であるという。SO EESのデータには、統一エネルギーシステムに接続されていない極東地域のデータは含まれない。インテルRAOのデータによると、ロシアの電力輸出量は、2022年が136億kWh、2023年は107億kWhであった。2021年の輸出量は229億kWh、輸出額は13億ユーロ以上であった。最大の輸出先はEUで、フィンランドおよびバルト3国に供給されていた。EU統計局(Eurostat)によると、2021年のEU加盟国のロシアからの電力輸入額は5億1,650万ユーロ、2022年1~10月は9億6,850万ユーロであった。インテルRAOによると、2023年以降、EU向け電力輸出は行われていない。そのため、同年のロシアの電力輸出量は減少した。同社は2022年以降の輸出収入を公表していない。2023年の最大の輸出先はカザフスタンで、輸出量は中国を抜き47億kWhに上った。極東地域で電力消費量が増加したため、2023年8月以降、中国向け輸出量は前年同期に比べてほぼ半減し、秋には4分の1まで落ち込んだ。2023年の中国向け輸出量は31億kWh、もう1つの主要輸出先であるモンゴル向けは9億kWhであった。トルコ、アゼルバイジャンおよびジョージア向けにも少量の輸出が行われた。ロシア国内卸電力価格の上昇率は一般の物価上昇率を下回っている。発電事業者評議会によると、2020年以降、企業向け電力価格は21.1%上昇したが、一般物価上昇率は36.7%であった。2023年のロシア欧州部およびウラル地域における企業向け電力価格の上昇率は5.6%で、1MWhあたり2,780ルーブルとなった。シベリアでは7.9%増の1MWhあたり2,320ルーブルに達した。2023年の国内卸電力価格の上昇率は平均6%、一般物価上昇率は7.4%であった。一般家庭向け電力料金は各地方政府により設定される。原則としてこの料金は卸価格より安いが、これは企業のクロス補助により可能となっている。高等経済学院の推計によると、このようなクロス補助金は、2022年に2,500億ルーブル、2023年には2,940億ルーブルに上っており、2024年はさらに2.3%増加する見込みである。
ROTOBOビジネスニュースクリップ掲載号及び発行日 2024年2月27日 第135号
入力日 2024-02-28
データ番号 5061