アルファバンクやX5など5社、外国人所有者の権利排除へ 司法手続き開始

セクター 経済全般
関係国 ロシア国内
掲載日 2024-04-25
コンテンツ 4月25日付Vedomostiによると、「経済的重要性を有する組織」のアルファバンク、アルファ保険、小売チェーンX5 Group、Azbuka Vkusa、Arshanovsky coal mine(ハカシア共和国)の5社に対し、外国人所有者の権利を停止する司法手続きが開始された。外国人所有者の権利停止を認める決定が下された場合、ロシアの受益者がこれらの企業に対する直接的な支配権を獲得することになる。プーチン大統領が承認した経済的重要性を有する組織のリストには計6社が含まれているが、鉱物肥料メーカー・アクロン(Acron)に対しては、外国人の「除外」はまだ開始されていない。この司法メカニズムを利用した最初のケースは、Arshanovsky coal mineの受益者であるアンドレイ、ウラジーミル・ルニョフ両氏である。両氏は3月26日、有限責任会社Arshanovsky coal mineを支配するキプロス企業Zimber Investments Ltd.の経営参加権の停止をモスクワ州商事裁判所に願い出た。同裁判所はその日のうちにこの申請を受理するとともに、税務当局が統一国家法人登記簿上の当該ロシア法人の情報に何らかの変更を登記することの禁止、ならびに当該法人の清算もしくは再編に係わる何らかの行動を起こすことの禁止を含む制限措置を決定した。ルニョフ両氏は訴訟の中で、Zimber Investmentsが同法人の清算や同社定款の承認、同定款の変更もしくは新定款の承認、経済的重要性を有する組織のリストにおける所有者情報の変更、単独執行機関の交代を狙いとした「不誠実な行動を起こす能力を現時点では有している」と指摘した。有限責任会社IKS 5 Corporate Centerに対するオランダのX5 Retail Group N.V.の権利停止を求める申請は、3月29日に産業商務省から送付された。4月1日にはAzbuka Vkusaのソログープ社長が同様の請求をモスクワ州商事裁判所に提出した。同社チェーンは、有限責任会社Gorodskoy Supermarketを介してキプロスのDemanor Investments Ltd.に支配されている。1回目の審理は4月26日の予定である。4月24日、財務省は、キプロス企業ABH Financial Ltd.とアルファ保険ホールでイングスがもつ株式会社AB Holdingと有限責任会社YuNS-Holdingに対する経営参加権の停止を裁判所に申請した。両社はアルファバンクとアルファ保険を所有している。所有権連鎖からの外国人の除外に関する反制裁法は2023年9月に施行された。同法の目的は、非友好的な経営機関が実際の所有者の決定を阻止することにより生じる経営管理能力の喪失という問題を解決することである。同法は経済的重要性を有する組織の概念とその基準を導入するとともに、モスクワ州商事裁判所に対し、当該組織の外国人所有者らが持つ経営参加権を迅速に停止する権利を付与した。外国人所有者が被る影響としては、株主総会での議決権行使の禁止、経済的重要性を有する組織の株式または持分の処分の禁止、配当金の受領の禁止が挙げられる。当該の申請を裁判所に提出できるのは、経済的重要性を有する組織の直接的および間接的受益者、単独執行機関、または取締役会メンバー、ならびに本件に関する権限を政府から付与されている連邦執行権力機関である。

ROTOBOビジネスニュースクリップ掲載号及び発行日 2024年4月30日 第142号
入力日 2024-05-02
データ番号 5323