ロシアの石炭輸出量、2030年までに約2倍に

セクター エネルギー
関係国 EU
掲載日 2024-04-22
コンテンツ 4月22日付Vedomostiによると、エネルギー省のセルゲイ・モチャリニコフ次官がインタビューに応じ、ロシアの石炭輸出量は2030年までに年間約3億6,000万t(2023年の1.7倍)に達する可能性があると語った。ただし、これはロシア鉄道の輸送能力が拡張された場合に限られる。同次官によると、現在は物流が石炭輸出の主な制限要因になっている。同次官は、北西方面向け鉄道輸送能力は現在の1億5,000万tから2030年には2億2,000万tに、アゾフ海と黒海の港向けについては1億2,500万tから1億5,400万tに拡張される予定であると述べた。東部鉄道管区(バム鉄道とシベリア鉄道)の輸送能力も2030年までに拡張され、2035年までに工事が完了する予定である。こうした計画が実現した場合、2030年には東方向け石炭輸出(極東の港経由および陸上輸送による輸出)の需要が2億tを上回る可能性がある。また、同年には南部の港経由での輸出量が約6,000万tに、北西部の港(バルト海、ムルマンスク)経由での輸出量は1億t以上になる見込みである。同次官は、「つまり、ロシア産石炭の生産能力と需要を考慮すると、輸出量は約3億6,000万tになる」と結論付けた。エネルギー省によると、中国におけるロシア産石炭の需要は少なくとも2030年までは伸びる見通しであり、その他のアジア・太平洋諸国向けの輸出についても伸びが期待される。2023年のロシアの石炭生産量は4億3,870万t(前年比1%減)、輸出量は2億1,250万t(前年比4%減)であった。アジア・太平洋諸国向け輸出量は1億7,500万t(輸出全体の83%)であったが、同次官によると、そのうち1億800万tは極東の港経由および陸上輸送により、6,700万tは黒海、バルト海、ムルマンスクの港経由で輸出された。同省の推計によると、2024年の生産量は4億4,000万t、輸出量は2億2,000万tに達する見通しである。EUがロシア産石炭の禁輸措置を発動したことを受け、2022年、ロシアの石炭生産者は輸出先をアジア市場に切り替えた。なお、ロシアの石炭会社は国際的なベンチマーク価格に対して大幅な値引きを余儀なくされている。
ROTOBOビジネスニュースクリップ掲載号及び発行日 2024年4月30日 第142号
入力日 2024-05-02
データ番号 5332